来たる11月23日、ついに公開される北野武監督作品 映画「首」!
構想30年という超大作の今作は、故・黒澤明監督が「北野くんがこれを撮れば『7人の侍』と並ぶ傑作が生まれるはず」と期待していた作品です。
また、世界初公開となった第76回カンヌ国際映画祭では、観客から5分間にわたる熱狂的なスタンディングオベーションを受けました。
このように公開前から各所で話題の映画「首」。
しかし、実はこの作品、お蔵入り間近だったというウワサがあるんです。
世界のキタノが30年かけた作品なのにお蔵入り寸前だったなんて、どういうわけか気になりますよね。
実際、映画「首」の撮影はコロナ渦の2021年4月から9月にかけて京都で行われ、10月には編集作業も完成間近だったという報道が。
超大作と銘打たれる本作が、なぜ公開までこんなにも長い時間がかかってしまったのでしょう。
この記事では、北野武監督作品 映画「首」がお蔵入りになる寸前だったというウワサやその理由、さらにたけし監督と黒澤明監督との関係について解説します。
映画「首」はお蔵入り寸前だった?
北野監督作品「首」
紆余曲折を経て公開決定
監督自身が演じるのは「羽柴秀吉」
日本史上最も有名な事件と言っても過言ではない「本能寺の変」を独自の目線で描く
歴史を決めるのは当事者か、跡を継ぐものか、はたまた無関係に見える市民か。
「七人の侍」はこの映画をどう見る#映画好きと繋がりたい pic.twitter.com/xs9ipPuQsN— @東京コミコン (@EddieandNextday) April 15, 2023
映画「首」は2021年秋には完成間近だったのに、なぜ公開まで2年もかかってしまったのでしょうか。
結論から言うと、北野武監督と配給元のKADOKAWAが契約を巡って揉めたことが原因のようです。
KADOKAWAは映画「首」の製作費も提供しており、なんとその額は15億円。
それだけ気合の入った作品が、どうしてお蔵入りの危機に直面したのでしょうか。
2つの理由を解説していきます。
金銭問題が原因か?
KADOKAWAと契約の問題で編集作業ストップしていた北野武監督の新作映画「首」が遂に2023年秋に公開決定‼️
早く予告映像が見たい〜‼️‼️‼️ pic.twitter.com/q18Oc3foGD
— はんじゅくたまご初号幾 (@HAnzyuku_T) April 17, 2023
まず、映画「首」がお蔵入り寸前となった原因のひとつ目は、北野監督とKADOKAWAのあいだで金銭問題などの契約がまとまらなかったことです。
KADOKAWAの夏野剛社長は2023年4月に行われた映画「首」の制作報告会見で、本作の15億円にのぼる製作費はすべてKADOKAWAが出資していると説明。
しかし、この製作費、はじめはKADOKAWAを中心とした数社からの出資が予定されていました。
そのなかでたけし監督にとって想定外だったのは、動画配信サービスを展開するネットフリックスからの出資予定。
KADOKAWAは製作費の出資との交換条件で映画「首」配信の権限をネットフリックスが持つことを提案していました。
たけし監督はこの話を聞いていなかったようで、「KADOKAWAの提案してきた契約はあまりにも一方的すぎる」と反発。
けっきょく北野監督はKADOKAWAが提示した契約条件を不服とし、映画の完成間近となった2021年秋になっても正式な契約は結ばれず。
そのまま映画「首」の公開は暗礁に乗り上げ、編集作業は中断されてしまいました。
しかし、一転して2023年、ようやくKADOKAWAと北野監督は契約を締結。
映画「首」の公開をむずかしくしたもうひとつの原因もこれをもって解決されました。
では、金銭問題と並ぶもうひとつの理由とはなんでしょうか。
KADOKAWAと対立?
撮影中からめちゃくちゃ公開を待ってました!世界のキタノ監督が長く温めていた作品、そして”女が眠る時”以来の西島さんとの再共演!ハリウッドでも注目の高い2人の時代劇ともなれば期待しないわけがない!劇場公開の11月23日が心底楽しみすぎる!#首を長くして待て#映画首@kubi_movie pic.twitter.com/1G2p2mFTzU
— PinaCrrruise (@pinausagi) July 29, 2023
KADOKAWAとたけし監督のこじれた関係に変化を与えた出来事があります。
それはコロナ渦に開催された東京オリンピック・パラリンピックの大会スポンサーを巡る贈収賄事件。
当時KADOKAWAの会長であった角川歴彦氏が贈賄の疑いで逮捕されてしまったのです。
実は、この衝撃的事件のまえにKADOKAWAはある条件を北野監督に提示していました。
それは映画「首」のクレジットに「製作総指揮 角川歴彦」と入れること。
たけし監督はこの条件は飲めないとKADOKAWAと対立。
不満を持った北野監督はKADOKAWAに乗り込んで歴彦氏に直談判したという騒動もあったようです。
しかしその後、歴彦氏は贈収賄の容疑で逮捕され、KADOKAWAの会長職、さらに取締役も辞任。
KADOKAWAの幹部はたけし監督にことの経緯を説明し、契約条件の歩み寄りをした結果、ようやく和解を果たせました。
そして2023年、両者間で新たな契約を締結。
北野武監督が構想に30年かけた超大作「首」は無事公開されるはこびとなったのです。
映画「首」は『七人の侍』と並ぶ傑作?
北野監督が初期の代表作の1本「ソナチネ」と同時期に構想し、30年もの長きに渡って温めていた作品で、巨匠・黒澤明が生前「北野くんがこれを撮れば、『七人の侍』と並ぶ傑作が生まれるはず」と期待していた企画の映画化となっている。#首 11/23公開 pic.twitter.com/el4VkHF5BG
— 映画好き (@cinemas365) September 28, 2023
北野監督とKADOKAWAの確執を乗り越えて、11月23日、待望の公開を迎える映画「首」。
制作報告会見ではKADOKAWAの夏目社長は本作を『七人の侍』に通じるスケール感だと評し、公開にこぎつけた喜びをにじませました。
実際、映画界の巨匠・故 黒澤明監督が過去に「首」について「『七人の侍』と並ぶ傑作になる」と話したことが各メディアに大々的に取り上げています。
『七人の侍』と言えば、公開から70年経った今でも世界中で愛されている黒澤明監督の代表作で、多くの映画監督に影響を与えたことでも知られていますよね。
北野武監督も例にもれず、黒澤明監督を尊敬するひとり。
ここからはたけし監督と黒澤監督の関係や構想に30年かかったことについて迫っていきます。
たけし監督と黒澤明監督の関係は?
北野武の初期の映画は、『ソナチネ』まで全てキネマ旬報ベストテンにランクインしており、評論家の評価は高かった。黒澤明も北野作品を処女作から高く評価しており、『ソナチネ』を「ズカズカ撮ってるでしょ。あのズカズカがいい」と称賛していた。ちなみに、黒澤はたけしを「ビート君」と呼んでいた pic.twitter.com/ad47Ks0OnW
— 中井かんいち (@ichikawakon) January 20, 2019
映画「首」の制作報告会見で、北野武監督は黒澤明監督や大島渚監督から受けたアドバイスがずっと頭に残っていて、映画を撮るときのクセになっていると話しました。
『その男凶暴につき』で監督デビューを果たして約35年。
クセになるほど染みついたアドバイスは、偉大な先輩たちとたけし監督は師弟関係だったことを表しているのかもしれません。
文春新書から出版されている『黒澤明が選んだ100本の映画』では、たけし監督について「出演者の一人一人の存在感がしっかりと出ていて素晴らしい、才能がある」と語りました。
また、2015年に公開された北野武監督作品『龍三と七人の子分たち』の舞台あいさつでは、黒澤監督から「映画界は北野くんに託す」という手紙を受け取っていたことが明らかに。
このようなエピソードから、たけし監督が黒澤監督に一方的にあこがれていただけではなく、黒澤監督もたけし監督を認めており、将来の映画界を担う存在だと考えていたことが分かりますね。
構想に30年?
#首を長くして待て #映画首
北野武監督の映画を見始めたのは今年に入ってからだが、その芸術性と世界観に度肝を抜かれた。そして今回満を持しての時代劇。殺伐とした中にシュール味を感じる予告編で既に期待しかないです。早くみたい。 pic.twitter.com/TKjItuVwIs— エニグマ (@enigma_movie199) July 29, 2023
映画「首」は、1993年公開の北野武監督作品『ソナチネ』と同時期に構想された作品です。
30年もの長い期間温められてきた「首」は配給元のKADOKAWAも太鼓判を押す超大作。
制作報告会見ではたけし監督は「30年?3週間くらいじゃないか」などとおどけて見せましたが、ようやく形にできたことはたけし監督自身ももうれしく思っているはず。
第76回カンヌ国際映画祭で世界初上映された際には、「編集で見てたんで寝ちゃうかなと思ったけど、まあまあ(の出来)」と照れながらコメント。
30年の時を経てついに公開される映画「首」、11月23日の公開が待ち遠しいですね!
まとめ
狂った〈本能寺の変〉#織田信長 「皆殺しに決まっとるがや!」#明智光秀「これは天命だと思うか?」#羽柴秀吉「あいつらみんな消えてもらう」#徳川家康「天下などいりませんよ」
裏切り、嫉妬、野心、黒幕、まさかまさかの結末。綺麗事ゼロ。戦国時代の本性が暴かれる。#首 #映画首 #北野武 pic.twitter.com/rnvWCMmR0L
— 映画『首』公式【11月23日(木・祝)公開】 (@kubi_movie) October 8, 2023
今回は北野武監督作品「首」がお蔵入りになる寸前だった理由や、たけし監督と黒澤明監督の関係、さらに構想に30年かかったことについて迫っていきました。
映画「首」がお蔵入りの危機に瀕した理由はふたつ。
金銭問題などの契約がまとまらなかったことと、KADOKAWAの前会長である角川歴彦氏のクレジット表記を巡りたけし監督とKADOKAWAが対立したことでした。
また、映画「首」が『七人の侍』と並ぶ傑作という情報から黒澤監督とたけし監督の関係を調べた結果、互いに認め合う師弟関係を築いていたようでした。
さらに、映画「首」が構想されたのは30年も前にさかのぼり、たけし監督の代表作「ソナチネ」と同時期に構想された作品だと分かりました。
いかがでしたか?今回の記事がお役に立てれば幸いです。
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